建て主の思いを考え、快適な暮らしを実現するための設計・デザイン。

1.敷地の特性を見極める

敷地は人の顔と同じで形状や大きさや前面道路との距離や敷地の奥行などはどれひとつ同じものはありません。

敷地の内部から見た景色や風景などはそこにある敷地だけが持つ景観上の性格とも言えます。

そして敷地を取り巻く外部環境も様々です。

敷地周辺に公園や緑道などがあるのか、敷地と隣地の建物との離れや前面道路の幅員や敷地への進入経路なども考慮する。

また敷地に作用する自然環境なども良く見極める。

その地域に吹く風が年間を通してどの方向に吹くのか、敷地に降り注ぐ太陽の光が周辺環境の下でどの位降り注ぐのかは大変重要です。

特に都心の限られた敷地ではこの敷地の特性を見極めることは設計上では大変重要になります。

これらの敷地の性格を見極めた上で、建て主の思いを考えながら快適な暮らしの為のプランを実現してゆきます。

2.都市計画を理解する

敷地には都市計画法で定められた法的規制が存在します。

具体的には建蔽率や容積率や道路斜線または北側斜線などがあります。

これらの規制と前項の敷地の特性から建物の全体像や配置計画が見えてきます。

この全体像の中でいかに空間を有効利用して、建て主が快適に暮らすことが出来るのかを検討することになります。

また都市計画においてもう一つ重要なことは防火地域と準防火地域の防耐火規制です。

市街地における火災のリスクを低減するためにこの規制はありますが、最も規制が厳しいのが防火地域で、駅周辺や大きい幹線道路沿いや商業施設などが密集している地域などがあります。

防火地域の周りにあるのが準防火地域で防火地域と比べて建物の規制は緩やかです。

防火地域と準防火地域では建物の規模や階数によって防耐火上での規制が異なります。

>耐火性能についてはこちら

3.建て主の思いを読取る

敷地の特性を踏まえて、建て主が考える快適な暮らし方とはどのようなものなのかを建て主とご家族との会話を通して読取ることは設計者にとって最も重要な仕事になります。

建て主の思いを理解してそこで暮らす家族がその先いかに心地良く生活できるのかを様々な角度からよく考える。

心地良さや五感で感じる以外にも機能性やランニングコストなどで設計の中でどのような提案ができるのかを考える。

設計する側の一方通行になっていないか、建て主の思いをきちんと表現できているのかをプランを進める過程で自問をする。

またコスト面と建て主が必要とする空間やインテリアなどを勘案してバランスよく設計・デザインすることも大切です。

4.パッシブデザイン

冬は暖かくて、夏は涼しい。年間を通して住む家がストレスを感じないことが何よりも大切です。

パッシブデザインは建物周辺の自然エネルギーに注目し、これらを最大限活用することで高い質の室内環境を構築する設計手法です。

●自然の風を取入れる

春から初夏、または晩夏から秋においては外の空気を室内に取り入れる。

盛夏においては室内に溜まった暖かい空気を外に逃がす事で室内環境を向上させます。

自然の風を取り入れるために窓の位置や開閉方法も検討することが大切です。

●夏の日射を防ぐ

夏を涼しく過ごすためには太陽からの日射遮蔽は欠かせません。

特に窓からの日射を防ぐことは最も大切なことです。

この夏の日射を防ぐ手段として窓に軒や庇または障子などの建築手法などが考えられます。

または簾やハニカムブラインドなども有効な手段です。

●昼光利用

昼光利用は太陽の光をそのまま利用して室内を明るくする事を目的としています。

昼光利用で考えられるのは、吹き抜けや天窓、そして2階建てならば2階リビング、3階建てならば3階にリビングを配置するという事も考えられます。

5.外観デザイン

外観デザインは飽きの来ないデザインとエントランス付近の植栽との調和を大切にしています。

軒の高さは極力低くすることで全体に調和を持たせ、屋根は都心でも軒を極力出すことで夏の日射遮蔽や雨から外壁を守るという機能性に加え、形状をシンプルにする事を大切にして美しい外観になるようにしています。

バルコニーの手すりなどに木材を使用することでファザードにアクセントを付けることもします。

そして可能な限り植栽を施すことで周辺との調和を図るようにしています。

6.広々と開放的な暮らしの為に

限られた空間の中で広くそして開放的な空間と感じるためには様々な工夫が必要でが、大切なことは開放的でしかも住んでいて落ち着く事。

窓の配置や大きさ、内装ドアや造作家具の配置、天井高さのバランス、使用するインテリアを統一する。

また床の高さに少しだけ高低差をつけることで空間にメリハリを加えてみる。

吹き抜けがある場合は吹き抜け部分の天井高さがあるので、周辺の天井高さを低く抑えることでより空間に広がりと開放感を演出することが出来ます。

7.造作家具と造作キッチン

造作で造る家具とキッチンは内観デザインに溶け込む事と機能的で無駄を省くことが主たる目的です。

家具や収納は機能的で少しでも収納力がある方がいいので、設計段階からミリ単位で検討する。

特に狭小地では限られたリビング空間の中でいかに機能的で無駄がないような造作家具が提案できるかは快適な暮らしの為には非常に重要です。

造作キッチンは壁付けや対面式などから始めるのではなく、どのような家事同線が理想的なのかを共に考える。

その理想的なキッチンライフに必要な設備機器を選択して、それらをどこに配置するのかを考えることがオリジナルキッチンの楽しみになります。

>大工が造る造作家具・収納はこちら

8.自然素材を使う

健康的で快適な暮らしを送るためには機能性以外に家づくりで使用する素材が挙げられます。

土手加藤材木店では壁や天井には左官材、床や内装建具には無垢のフローリング、水廻にはタイルなどの自然素材を適材適所に取り入れるようにしています。

無垢の材木には不思議と人の気持ちに安らぎを与えることが知られていて、時間の経過とともに材木の木肌の経年変化を楽しむ。

左官職人が塗った壁や天井は飽きの来ない意匠になり、またメンテナンスの必要が無いことも利点です。

タイルは様々なデザインがありオリジナリティーを追求するには最高のマテリアルです。

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