「構造計算」による安全性の確保

緻密な「構造計算」

土手加藤材木店では、建物の耐震性を担保するために許容応力度計算による構造計算を行います。

許容応力度計算では以下の3項目を検討します。

  1. 水平力(地震力・風圧力)についての検討
  2. 鉛直荷重と局部荷重についての検討
  3. 地盤と基礎についての検討

当工務店で採用している木造軸組み工法の建物は柱と梁を組み合わせて建てますが、この柱と梁の接合だけでは住宅の耐震性能を確保することはできません。

軸組み工法では、柱と梁を枠材として、その間に筋交いや構造用合板を施工して面を作り「耐力壁」にすることで、耐震性を確保します。

「耐力壁」は、地震力や風圧力などの横からの力に対抗します。

地震発生の際、その力が耐力壁を通って土台から基礎へ、そして2階や3階の床の水平構面に伝達されるようにすることで、耐力壁と一体となって建物を支える事が可能です。

床下地構造用合板で水平構面を確保

このような細かい構造計算の積み重ねが建物の安全性を上げ、そこに暮らすお客様の安全を担保することになります。

「直下率」の向上

耐震性や風圧力などに対抗するには、「構造計算」に加えて「直下率」を意識する必要があります。

「直下率」は、上下階の柱や耐力壁の位置がどれだけ一致をしているかを確認するための指標です。

設計段階で上下階の柱や耐力壁を合わせることで、地震力や風圧力などの外力が耐力壁を通じてスムーズに土台から基礎に伝達されるようにし、耐力壁を建物全体に均等に配置します。

これにより建物全体のバランスが取れ、地震に強い建物になります。

耐震性能を追求した当社の標準仕様

1.「地盤調査」及び「地盤改良」の徹底

建物を建てる前にまず初めに行うことが「地盤調査」です。

その敷地が基礎から上の上部構造をきちんと支えることが出来るのか、液状化の可能性はあるのかを調査します。

調査方法は、住宅建設では最も採用されている「スウェーデン式サウンディング試験」方式です。

スクリュー先端にドリル状の羽根が付いた鉄の棒を一定の荷重を加えて地中に打ち込んで、地盤の強度を測定する方法です。

地盤調査を基に、調査内容を第三者機関が精査して設計地耐力を満たしているのかを判定します。

判定結果が地盤改良の必要有りの場合には、地盤改良工事を行います。

2.盤石な「ベタ基礎」

基礎形状は「ベタ基礎」を採用しています。

立ち上り基礎幅は150mm、基礎底盤厚さは構造計算によって決定しますが150mm~200mmが標準となります。

基礎底盤の配筋も、構造計算によって算出します。

ベタ基礎とは?

ベタ基礎とは、鉄筋コンクリートを立ち上がり部分と床一面に流し込んでつくる基礎です。

基礎工事で重要なのが、実際のコンクリートの強度が設計時の強度を確保できているのかどうかです。

土手加藤材木店では、すべての現場でコンクリート圧縮強度試験を実施しています。

現場に搬入されてきたコンクリートを一部抜き取り、第三者機関で検査を依頼しています。

また配筋に使われた鉄筋は、製造会社に出荷証明書の提出を依頼し、設計図面通りの鉄筋径などが正しく納品されているのかを確認しています。

3.土台・柱は「国産桧」

土手加藤材木店が使用している土台と柱は、国産の桧です。

また耐力壁に使用される筋かいにも桧を使用しています。

桧には、

  • 桧は他の材木より引張強度、圧縮強度が優れている
  • 斜めの力に優れているので地震力に強い
  • 桧は他の材木より耐久性が優れている

など様々な優れた要素があります。

それを証明しているのが、世界最古の建築物である法隆寺です。

法隆寺に大量の桧が使用されている理由は所説ありますが、その中のひとつに創建当時は周辺に桧の原生林が存在したという説があります。

当時あれだけの巨木を運搬する手段は無かったことからも、この説が一番有力であると考えられます。

桧は立ち木から伐採された後に強度が上がり続けるという特性を持ち、200年後に強度のピークを迎えます。

その後徐々に強度が低下しますが、驚くことに伐採直後の強度まで低下するには1000年以上の長い時間がかかると言われています。

昔から関東ではまな板には桧を使用することが多いのですが、これは桧自体に油分を含んでいる為水に強い特性を持っていることが理由です。

この特性は建築においても有用で、桧は土台など湿度が多い場所の使用に最適な木材なのです。

●桧の分布・産地

福島県東南部以南の本州、四国、九州に分布しています。

●桧の特徴

芯材の色は「紅紅色」、辺材はほぼ「白色」で、この白さのため神社仏閣建築に用いられています。独特の美しい光沢と特有の香りが、材料として価値を高めています。

心材の耐巧性が高く、長期の水湿にもよく耐える特性があります。柱、土台、造作材、家具、フローリング、建具、彫刻など、古来様々な用途に使用されています。

4.床下地には「構造用合板」で水平構面を確保

2階や3階の床下地には構造用合板を使用します。

床下地に構造用合板を施工することで、水平構面の強度を確保することができます。

地震発生時、振動は地面から耐力壁を伝って上階に伝達されますが、土台が強固に固定されている分、揺れは上階の方が大きくなります。

横からの大きな力を受け止める上階には、耐力壁だけでなく強固な水平構面の確保が必要です。

上階の水平構面で横の揺れに抵抗した後、その力を1階の耐力壁に流すことで、地震の揺れに耐えることができるのです。

そのため、水平構面の安全の確保は耐震上非常に重要です。

屋根の水平構面を確保するために構造用合板を施工した例

5.「耐力壁」のバランスよい配置

耐力壁を構成する筋かいには、斜め方向にも強度が強い45×105の桧を使用しています。

また耐力壁は、直下率と併せて設計段階から建物全体でバランスよく配置することが必要となります。

筋かいに加え外周部には構造用合板を施工することで、建物全体で地震力や風圧力に抵抗するようにします。

6.「構造金物」による接合部の補強

木造軸組み工法では、部材同士における接合部での構造金物による施工が重要になります。

土台と柱、柱と梁、梁と梁の接合、柱と筋かいなどの接合部で構造金物を使用します。

構造金物の選定は、許容応力度計算に基づいて決定します。

地震が発生し水平力が働くと、筋かい自体がつっかえ棒のようになり、引張側では柱が土台から引き抜かれる現象が起こります。

これを防止するために、この接合部を構造金物で強固に緊結する必要があります。

7.屋根は軽量の「ガルバリウム鋼板」

土手加藤材木店では、屋根に使用する部材は「ガルバリウム鋼板」を標準で使用しています。

屋根を軽い部材を使用することで耐震性能は良くなります。

建築基準法施行令では、屋根の重さと壁量についての規定があります。

重い屋根と軽い屋根とでは必要な壁量が異なります。瓦などの重い素材を使用した屋根の場合、壁量を増設させて耐震性を確保する必要があります。

そのため、重い屋根の素材は、間取りに影響を与える場合があります。

ご要望に応じて、瓦屋根への変更も可能です。その場合には、耐震性を確保したプランをご提案します。

耐震性能を示す指標のひとつ「耐震等級」

地震大国の日本では、建物の耐震性能の確保は最重要な項目です。

建物の安全性能の指標は色々ありますが、耐震性能を表す指標は耐震等級があります。

現在の建築基準法の耐震基準を満たすのは、耐震等級1です。

▼耐震等級1

数百年に一度起こる地震(震度6強から7程度:阪神淡路大震災や2016年の熊本地震クラスの揺れ)に対して倒壊や崩壊の危険が無いとされ、数年に一度起こる地震に対しても建物の損傷がない程度の耐震性を備えている事を指します。

▼耐震等級2

耐震等級1で想定されている地震の1.25倍強い地震が発生した場合でも、倒壊や崩壊しないとされている耐震性を有する建物を指します。

▼耐震等級3

耐震等級1で想定されている地震の1.5倍強い地震が発生した場合でも、倒壊や崩壊しないとされている耐震性を有する建物を指します。

*耐震等級は建築基準法で定められた法律ではなく、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」です。

基本的には建築基準法の耐震性能レベルである耐震等級1を確保しますが、お客様のご要望により耐震等級2または3を取得する事は可能です。

※ご希望するプランによっては耐震等級2または3を取得する事が難しい場合がございます。