見習い大工の真利子です。
今回は、久しぶりに道具の紹介をしたいと思います!
現場では様々な道具を駆使し、作業をします。
種類は電動工具から手道具まで多種多様、大きさや重量もバラバラです。
その中で、大工が一番使う道具は玄翁(ゲンノウ)だと思います。
新築、リフォーム関係なく必ず現場には持参する玄翁。
大工仕事には無くてはならないものだと言えます。

玄翁とは、わかりやすく言えば金槌のことです。
今回は120匁の玄翁の柄を挿げ替えました。
普通は折れたり、柄が長い間に短くなって挿げ替えをします。
この玄翁は曲がりと言われる湾曲した特殊な柄を挿げたのですが、馴染みが悪いので途中引退させました。
曲がりとは主に、刻み作業で使う大玄翁に挿げるものだそうです。
大玄翁とは150匁以上の重い玄翁のことです。
刻み加工では、その大玄翁を一日振り続けます。
曲がり柄の方がより、力を伝えやすく無駄な力が要らないので扱いやすいと言えます。

一方、この120匁玄翁は中玄翁と言われる大きさです。
100匁と120匁がだいたい中玄翁と呼ばれます。
刻み作業には少し軽い為、長めの釘を打ち込む時に使います。
そして、釘打ちの時には曲がりのない真っすぐな柄の方が使いやすいんです。
個人個人のこだわりや感覚の差はもちろんあると思います。
自分は大、中、小使い分けた結果一般的に言われるように大玄翁のみ曲がりを使うことで落ち着きました。

少しバリが出てしまいましたが、きつくしっかり挿げ込めました。
時間は一時間くらいです。
玄翁を挿げ込む際には、柄が刺さる穴「ヒツ」の縁をヤスリで面取りしておく必要があります。
そうすることで、柄を少し大きめに削っても自然と木殺しされながらヒツに収まっていきます。
一つ紹介するのを忘れていましたので、最後に”匁”(もんめ)について紹介したいと思います。
匁とは尺(シャク)と同じく、本来日本人が使ってきた単位です。
尺は長さ、匁は重さの単位です。
グラムに直しますと、1匁が3・75gになります。
つまり100匁玄翁は375g、120匁は450g、180匁大玄翁では675gに相当します。
今でも玄翁の種類は重さの匁で言い表しますので、グラムで言われると逆にピンときません。
ちなみに鋸(ノコギリ)は刃渡りによって八寸、九寸、尺、尺一なんて呼びます。

おまけに特殊鉋も研ぎましたので紹介します。
これは、溝の底を仕上げる”作里”(サクリ)と呼ばれる鉋です。
刃の幅や角度もさまざまで、逆目を止める為に二枚刃になっているものもあります。
現場の用途としては、建具の頭の部分「シバタ」を加工調整する時などに使用します。
また、訓練校では実技の時の微調整などにも活躍しました。
一、二台持っていると使い勝手の良い道具です。

これは、確か六分(18ミリ)幅だったと思います。
正規の鴨居溝は幅七分(21㎜)です。
七分巾の底取り鉋も持っていますが、巾に関係なく狭い箇所にも利用できるこの巾が便利です。
四分(12㎜)以下になると台の横に定規の付いた「機械作里」なんてものもあるくらいです。
今度また、機械作里は紹介したいと思います。
電動工具などなかった時代に、効率を重視して作られた手道具です。
きっと手道具、手作りといった感覚も少し変わるのではと思います。
楽しみにしていてください。