見習い大工の真利子です。
現在、キッチン製作中です。

キッチンとの対面家具に入る、建具の仕上げ作業です。
もともとは居室の入り口扉と同様、シナランバーで製作予定でした。
ですが、やはりメインとも言える家具なので框扉に変更です。
材は、先週紹介しました建具用「柾目取りされた吉野産」の桧です。

四方框に溝を掘り込み、鏡板を落とし込みます。
鏡板も同材で作りました。
柾目はやはり落ち着いた印象を受けますね。
使用は様々ですが、一般的には框が柾、鏡板は板目や銘木を使うのが多いと思います。
細かな仕様や意味合いは、やはり建具屋さんでないとわからないところがあります。
自分たちで作る利点は、枠類はもともと大工仕事ですからある程度枠のクセ等も把握できていることです。
それでもやはり、建具は作るたびに反省が盛りだくさんになります。
前の建具製作からかなり間が空きますから、「あっ!ここはこうするべきだった」ということも多々です。

キッチンの引き出しも作ります。
一番簡易的に作るには、シナランバーを寸法通りに切りボンドとビスのみで組み立てることです。
ですが、前回、前々回の反省上底板が一番もろいことがわかっています。
側板の底近くに溝を掘り、15ミリの板に10ミリ刺さっています。
下地の問題などと比較した結果、今回は底板の強度を優先しました。
シナランバーは、中芯部分が木片ブロックでできています。
そも為、木口にビスを効かすことが難しいです。
正直、ボンドが固まるまでの仮の押さえにビスを効かせている意味が強いです。

シナランバーで作った引き出しを引き出し金物で釣り込みます。
この金物もなかなか扱いにコツが必要で、取り付けよりその調整に苦戦します。
箱ものも手作りのため、微妙なヨレ等があるのだと思います。
金物を止めるビスの位置を1ミリ単位で微調整に入ります。
化粧板を取り付けると、また若干の狂いが出てきます。
重さや板の反りも関係しているのだと思います。

キッチン対面の引き出しです。
キッチンの自社取り付けは今回で三回目、製作を含むのは二回目になります。
取り付け時の様々な不備の原因がだいたい掴めてきた段階です。
加工時に改善できるものは改善し、付き合っていかなければならないところはより精度を高く。
どうしたら少しでも長く使っていただくことができるのか。
完成時は綺麗でも、すぐ壊れてしまっては意味がありません。
ですが、作っていてどうしても無理が集中する箇所等は把握しているつもりです。
親方は、もしその無理が出てきてしまった場合の対応のしやすさまで考えて作っています。
自分はまだまだ、とても敵わないです。
そういった図面ではわからない、後の処理まで考えられる棟梁に自分はなれるのか、、、
完成が近づくとやはり感慨深いです。