見習い大工の真利子です。
昨日から建具工事に入りました。
親方が障子を、自分は入り口戸その他家具の建具を担当しています。
通常の建具はシナランバーコア(木片ブロックを芯に表面にシナべニアを張り付けたもの合板)にタテ軸を張り付けて作ります。
枠材が桧なので、建具のタテ軸もヒノキで統一して製作します。
例外として、和室の入り口、押し入れの二枚戸は襖(ふすま)に。
玄関下駄箱、二階の家具扉は羽目板をはめ込んだ框戸(かまちと)で製作します。

桧の建具材です。
自分はこの材を見て、わくわくするのですがお分かり頂けるでしょうか?
写真だとわかりにくいですが、柾目取りされた純粋な建具用材なんです!
以前にもたびたび紹介していますが、大工が使用する材と建具用材では木取りの仕方が違います。
これまでは、大工が使う造作用材の素性の良いものを建具材に転用していました。
見た目の問題が大きいですが、主に加工過程で造作用材の方が大変です。
建具用材はその分、狂いの出にくく等級も上の材になるので扱いやすいです。

加工中の自分です。
今使っている機械が、プレーナー加工機です。
一台で二種類の機能があり、写真は材料の反りを落とし、直角を出す「手押し」を使っているところです。
材料一本一本の反りと直角を出したあと、右側の「自動」で厚みを揃えていきます。
電動工具はどれも定規(冶具)が全てで、定規さえしっかり調整すれば精度の高い加工ができます。
ただ、扱う材種や巾、長さでも差がありそれぞれコツがあります。
建具用材は目が良いのと反りもほとんどないので、削り代約5ミリで十分です。
当然なことですが、削れば部材はどんどん薄くなっていくので取りたい寸法で加工し終えるよう削り代を余分にみて製材します。
良い材の方が同じ石数でも削り代が少なくてすむのでその分材料も多く木取れます。

マルノコで製材したタテ軸材です。
本当に目の良い、反りも少ない材はマルノコで製材していても軽く挽けます。
見るからに杢目がのたうっているような材だと刃に掛かる摩擦が大きく、食い込んでしまいます。
木のそういったクセについては、宮大工棟梁の書いた本で勉強しましたが実感がありませんでした。
「木は生きている」とか「木のクセ」だとか心得程度にしか思っていなかったです。
ですが、立木だった時の風雪に抵抗していた踏ん張りみたいなものがクセとして出てくるんです。
動物の死骸でも生命が終わった瞬間、風船みたいに萎むわけじゃないですよね。
重力を跳ね返す力までなくなるわけではありません。
木材の場合、腐るまでの時間が動物より長いだけなんだと思います。
それも立木の時の風雪は、上からのみではないですよね。
地域によって吹く風も違うでしょうし、山なら地面も平じゃありません。
そうやってクセのついた木材を扱っているんですから、簡単ではないです。

現場加工ですので、いよいよ一つ一つの動作にも緊張します。
壁が仕上がった以上、傷つけられません。
今回の珪藻土はパターンのついていない、フラットな仕上がりです。
刷毛引きや鏝目調の仕上げは高級感が出てとても素敵ですが、自分はフラットな仕上げが一番好きです。
これから追い込みに入りますが、焦ると結局失敗します。
落ち着いて、自分ができる範囲で頑張りたいです。