見習い大工の眞利子です。
現場では今、ドア枠の加工をしています。
枠材は杉、敷居のみフローリングと同じタモ材で作っています。
杉は、窓枠と同じ枠用の板を二つ割等にして使っているので目合わせは比較的楽です。

敷居を矧ぎ合せているところです。
タモ材は堅木なので、結構反りがヒドイです。
そのままでは矧ぎ合せた時に、隙間ができたりしてうまく一枚の敷居になりません。
今回は材料が比較的厚めだったので、手押し加工機でしっかり反りを取ってから矧げました。
矧ぎ作業もかなり慣れてきました。

鴨居と縦枠の木取りをしているところです。
アウトセット枠や押入れの枠など、場合によって四方化粧の枠もあるので節などが混じらないように。
杉は桧に比べて節が少ないので、木取りやすいです。
杉の場合は、中に隠れていた虫食いや巻き皮などの方が加工時に後から出てくるので厄介です。
なるべく無駄のないように使いたいので、加工機で削り落せるように木取っていきます。

木取りが終わったら、自動加工機で厚みを合わせていきます。
加工機を通って、綺麗に削られた木の目を見るとなんだかワクワクします。
これからそれぞれの材料に、シャクリ込みや鴨居溝を掘っていきます。
今日には、加工が終わってカンナ掛けに入る予定です。

仕上げ作業を前に、カンナの調整です。
カンナやノミなど片刃の刃物は、研ぎ減らしていくと平らな裏が無くなってしまいます。
無くなった裏は、金床で叩いて「裏だし」する必要があります。
写真は金床と今回裏だしするカンナ刃です。
刃の付け根の部分、柔らかい地金の所を叩きます。
寒いと鉄も粘りがなくなるそうで、割れてしまうことがあります。
缶コーヒーでカンナと金床を温めながら叩きました。
包丁研ぎを紹介した時に書いた、裏を磨く「裏押し」作業の一つ前の工程です。
玄翁で叩くのですが、少しでも叩く所を外すと刃先が欠けてしまうので緊張する作業です。
裏だしが終われば、次に裏押し→中砥→仕上げと進みます。

カンナは、ノミと違って刃を研いだだけでは使えません。
材料に直接触れて、定規の役割も担う台の下端を調整します。
平らになるように調整していくのですが、真っ平だと材料との摩擦で引きが重くなってしまいます。
なので、削り始めに材料に触れる台の尻と刃が出ている口元のみを残して、剝きとってしまいます。
剝き方は人それぞれですが、自分はこの二点を残します。
法隆寺を修復した棟梁は真っ平だそうです。
自分も一度、真似して真っ平で使ってみたことがあります。
材料とピッタリくっ付くので綺麗に削れるのですが、摩擦がすごくてかなり疲れました。
たぶん一枚カンナを使っていたのだと思います。
今一般的なカンナは逆目を止める為の裏座が付いた、二枚カンナです。

最後に。
今後挑戦しようと思っているのが、カンナの台打ちです。
台打ち専門の職人の方もいるのですが、今後消滅してしまうかもしれません。
一度据えてしまえば、何十年も微調整のみで大丈夫なカンナの台ですが技術として持っておきたいです。
大カンナにも興味があるので、まずは一枚カンナから勉強しようと思っています。