見習い大工の眞利子です。
現場では、自分の担当している三階のボード張りがほぼ終わりました。
今日から、勾配天井に杉の羽目板を張る予定です。
三階建てなので、当然階段が二基あります。
タモという堅木で製作するササラ階段です。
その階段も二基とも親方が掛け終わりました。
今回は、その階段に使った余り材でカンナの割れ止めを作りましたので紹介したいと思います。

カンナの台は、良く目の通ったクセの少ない樫材(かし)を使います。
木の”クセ”と言われるものには、「立木だった頃の木の曲り方」と「乾燥による伸縮」があります。
真っ直ぐに生えていた材を使うのは大前提で、「カンナの台屋さん」が選りすぐっているはずです。
自分たちが調整しなければならないのは、後者による台の反りと狂いです。
普通なら台が割れるという事は、滅多にないと思います。
台が割れてしまうと、調整不可能なのでこれ以上進行しないように「割れ止め」をします。
割れ止めは、”チギリ”とか”チョウチョ”と言われることもあります。
タモ材をチョウチョの形に加工して、それに合わせて台を掘ります。
穴を先に掘ってしまうと絶対にピッタリいきません。
前日に、割れにボンドを入れてハタ金で絞めておきました。
写真は、チョウチョに合わせて台を掘り込んだところです。

改めて見ると、目があまり良くないですね。
割れ止め完成です!
このあと、台直しします。
割れてしまうほどの台なので狂い方も凄いです。
自分は、まず口元の反りを直します。
カンナの台は摩擦抵抗を少なくするために、二点もしくは三点を残して削り落します。
真っ平ではない訳ですね。
自分は、二点残しにします。
仕上げカンナにはなりそうにないですが、荒削り用で使います。
初めての割れ止めでしたが、うまくいって良かったです。
今度は、開き過ぎた口元を埋めたいと思います。

もう一つ紹介したいと思います。
今週は現場とは別に「面格子」を作りました。
窓にはめ込む為のもので、真ん中にヨレ止めの縦桟を一本入れてあります。
写真はその縦桟を加工しているところです。

部材が揃いました。
格子桟が九本、横枠と縦枠がそれぞれ二本ずつ、それに縦桟が一本です。
計六枚作ります。
材料は杉です。

ペンキを塗る下地ということで、節有りです。
杉だと柔らかいので、相欠きのところがカジリやすくて大変でした。
枠はビス止めで良いということだったので、脇からビスで止まっています。
作ってみて思ったのは、ホゾとビスの併用が一番強いんではないかというとこです。
確かに、ビスで揉んだ方が引っ張ってくれますしピッタリくっ付きます。
今回は窓枠の中に欄間の様に払い込むそうなので、後から開くことはないと思います。
ですが、単独で持たす場合(構造材や家具など)はやはり、ホゾを挿したいです。
次の現場も手刻みです。
三回目の手刻み工事では、自分の目標として「木組みだけで持つ」を心掛けたいと思っています。
継手の採用や部材の長さは棟梁である親方が決めるので、自分は加工精度を前回より向上させます。
自分はまだ、大一か大二ですが、早く”大九”になってその上の”トウリョウ”になれるよう頑張ります!