見習い大工の眞利子です。
今日は、造り途中だったノミの箱が完成したので紹介したいと思います。

ノミの箱を作るのは二回目、今回は道具箱式のノミ箱にしました。
何が違うかと言うと、蓋の細工です。
写真は閉まっている状態ですが、蓋板を左にズラすと開くようになっています。
昔の大工さんなどは道具箱もすべて自作したので、使いやすくするために様々な工夫をしました。
今回の蓋のような細工から、小さな箪笥のように作って、道具が収納しやすくしました。
正式な名前が分らないので、自分は道具箱式と呼んでいます。

開けるとこんな感じです。
組ノミは普通10本で1セットなので箱も10本入るように間仕切ります。
ですがこの箱では11間にしました。
仕事中は錐や小さい釘などが散乱しやすいので、それらも入れられるようにしました。
蓋の細工に少し戻ると、左と右の板の長さが違うのが写真でもわかります。
10ミリにも満たない差ですが、これで蓋が外れないようになっています。

壁板の組手は家具屋さんなどが使う、アラレ組にしました。
アラレ組は普通、大工は使いません。
組手の考え方自体が家具屋さんなどの小さく、より細密さの求められる仕事の考え方だと思います。
では、大工はというと主にホゾを挿します。
木造の住宅を見てもあまり継手自体は見えないと思います。
有るとしたら、部材同士が接地している‘胴付き面‘だけだと思います。
見た目は柱に横架材などが乗っかっているだけに見えますが、柱に切られたホゾが奥深くまで刺さっている
わけです。

今回のアラレ組はリベンジです。
一代目の箱もアラレ組で作ったのですが、いまいちでした。
結局、釘で固定してしまったので今度こそはと思って作りました。
二代目である今回は、組手だけでしっかり固定されています。
間仕切りも壁板に溝を掘っているので壊れない限り外れません。
箱作りは半分趣味みたいなものなので遊んでいます。
親方には、前回より作るのが早くなったと言われました。
自分も一代目より上手にできたと実感できました。
最後に、この箱に収めるノミを買いました。
『宝龍斉長弘』と言う鍛冶屋さんのノミです。
自分の地元である江戸川で鍛冶屋さんをやっていた方だそうです。
箱もノミももったいなくて、大事にしまって置きたいですが、ガンガン使います。
早く柄を据えて現場に持っていきたいです。